明治トンネル めいじとんねる
現役トンネルとして 全国初の国の登録文化財
宇津ノ谷峠を越える東海道は、古代から重要な街道で、峠越えは、難所として知られていました。
明治7年(1874)、交通の利便性を良くするため、杉山喜平治さんをはじめとした地元の有力者7人が発起人となって、トンネル工事を開始しました。
総工費は約24,800円、工事関係者は全部で15万人で、明治9年6月に完成しました。
明治時代のお金の価値は下のサイトを参考にすると、当時の1円は、今の20,000円だそうです。
とすると、単純計算だと総工費は今だと約5億円ということになります。
地盤の強さの関係と、トンネルの長さを短くし、工事費を安くするため、途中で「く」の字に折れ曲がったトンネルをつくるために、静岡県に許可申請をしていました。
その古文書が柏屋で発見されているそうです。
当時、静岡市側の入り口は、青石積、岡部側の入り口は角材を合掌造りに組んだ木枠でした。
日本初の有料トンネルとして、明治9年11月から使用開始されましたが、明治29年に照明用のカンテラが原因の火事で、トンネル入り口が崩れたため、通行できなくなりました。
現在残されているトンネルは、明治36年に再整備されたレンガ積のトンネルで、長さが203メートル、直線ルートに修正され、明治37年に完成しました。
イギリス式の4重レンガ積の工法で作られており、技術的に高い評価を受けています。
昭和5年、自動車の通行が主流になると、この西側に近代的な旧国道トンネルが開通し、このトンネルはあまり使用されなくなったため、現代まで、良好に保存されました。
平成9年5月7日、現役のトンネルとしては、全国で初めて国の登録文化財になりました。
宇津ノ谷隧道群(明治・大正・昭和)が2018年土木学会選奨土木遺産に認定
宇津ノ谷隧道群は、ひとつの峠において、日本で2番目にできた明治の近代隧道をはじめ、大正、昭和の各時代にそれぞれ建設された3つの隧道です。
2018年に建設から50年以上経過した価値が高く、後世に伝えるべき施設であるとして土木遺産に認定されました。
平成に建設されたトンネルは含まれていませんが、現在全部で4つの隧道が存在しています。
土木学会公式サイトはこちら ⇒ 宇津ノ谷隧道群(明治・大正・昭和)